土曜日19時。俺は超熟女派ひでさんのケータイに連絡を入れた。
「明日は休めます。先日の話通り、霞ヶ浦にタナゴ釣りに行きましょう。」
「了解しました。他のメンバーにすぐ連絡を入れておきます。それではお休みなさい。」
まだ19時だぜ。もう寝ちゃうの?想像以上の早寝だ。さすが年寄り。(笑)
早寝、早起きは年寄りの・・・、おっと、釣り人の基本だ。俺たち(星のおじ様、超熟女派ひでさん、アマーノ氏、チェリー氏、いがぐり)は5時半に地元を出発し、霞ヶ浦周辺を目指した。向かうは先日いい思いをしたヤリタナゴのポイントだ。
俺はポイントに着くなり、脈釣りでヤリタナゴ(小)をすぐに釣り上げた。ここまでは思った通りだった。これからいいサイズのヤリタナゴが釣れ続くだろうと思っていた。しかし、俺たちの期待を裏切り、この後、ヤリタナゴ爆釣ポイントは沈黙を決め込んだ。
おかしい。なにかがおかしい。そもそも今日はこの前より寒く感じる。俺はすでに春が来たと勘違いしてしまい、防寒着はなく、フリースだ。寒い。これではヤリタナゴもどこかに隠れてしまったかも知れない。
俺がチビヤリを釣った後、チェリーさんがピンスポットでヤリタナゴを数匹釣ったが、しばらくすると、その場所も沈黙してしまった。
「とにかくなんでもいいからタナゴが釣りたい。」
「花粉症がひどくなった。」
「ドブにはまった。」
等、いろいろと文句が出始めたため、俺は鉄板ポイントBに移動するにした。
この寒さでも鉄板ポイントは俺を裏切らなかった。さすが鉄板ポイントBだ。小さなバラタナゴが適当なペースで釣れてくる。しばらくは大人しくバラタナゴ釣りに興ずる面々であった。
しかし、人間は貪欲なものだ。ある欲望が満たされれば、次の欲望が湧いてくる。
「ちがうタナゴが釣りたい。」
「リポビタンDが飲みたい。」
「お腹空いた!」
12時だった。どこかでお昼にした後、新たなポイントに向かうことにした。
先日、俺は俺と名字が同じおじさんと出会った。同族のおっちゃんは
「すばらしいポイントがあるんだ。君は同じ一族だから、その場所を教えてあげるよ。ヤリタナゴならいやというほど釣れるよ。」
と俺の行ったことのないポイントを教えてくれた。
しかし、おっちゃんはこの時、大きなミスを犯した。同族の俺にだけこういうことはこっそりと教えてくれればいいのに、みんながいる前でこんなことを言っちまった。当然のみんなの要求で、午後はそのポイントに行ってみることになった。
そのポイントに行ってみたが、俺はまったく釣れる気がしなかった。全体的に浅すぎるし、水も澄みすぎている。俺たちは同じ水系を少し歩き回ってみることにした。
俺は少し歩いたとこで、深みに魚が集まっている場所を発見した。そこで竿を出してみた。水底は丸見えで、エサが流れていくのが見える。小さな魚がちょっかいを出しているのが見えた。浮子に反応が出た。合わせてみるとバラタナゴだった。
またもやバラタナゴが釣れだした。まあ、何も釣れないよりはいいかとそのまま釣っていると、なぜか水がみるみる濁ってきた。少し上流の土管から濁った水が入ってきたようだ。
水底もエサも見えなくなった。そして、777、確変(?)は起こった。いきなり浮子を持っていくような強いアタリだ。合わせをくれると、大き目のタナゴが掛ったのが見えた。ヤリタナゴ♂かと思ったが、俺の手の中にいたタナゴは霞ヶ浦周辺ではかなりレア種となってしまったアカヒレタビラだった。しかも婚姻色がうっすら出た♂だ。
貴重な魚だ。俺は魚が弱らないように細心の注意を払い、デジタルキープした後、丁寧にリリースした。
しかし、釣れたのはアカヒレだけではなかった。再び釣り始めるとまたもや明確なアタリだ。今度釣れたのは小さいながらもマタナゴの♂だ。こいつもなかなか貴重な魚だ。丁寧にデジタルキープした後、リリースした。俺はアカヒレタビラ♂、マタナゴ♂を連続で釣ったので、十分に満足した。しかし、奇跡の777タナゴ確変はまだ終わってはいなかった。
さらに同じポイントにエサを流すと、またもやアタリだ。またも大き目のタナゴが掛ったのが見えた。今度はまったく婚姻色が出てなかったので、最初はアカヒレタビラ♀かと思ったが、スレンダーなカネヒラ(♂?)だった。この時期になんとカネヒラまで釣ってしまった。
他のみんなもこちらに来て釣り始めたが、アマーノ氏がヤリタナゴ♂を釣ったくらいで確変は終了した。濁りが再び取れてしまったからだ。タナゴ確変をものにしたのは俺だけであった。
霞ヶ浦周辺でタナゴ五種(ヤリタナゴ、アカヒレタビラ、マタナゴ、カネヒラ、バラタナゴ)を一日で釣ったのは何年ぶりのことだろう。ここ十年、霞ヶ浦周辺ではタナゴが激減し、特に在来種は釣ること自体が難しい。今日はかなりタナゴ運に恵まれた一日だった。
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